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パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」
スクリーニング調査:全国の就業者 n=19,855、本調査:正規雇用者 n=3,000、内訳は以下の通り:

スクリーニング調査は、労働力調査に基づく全国就業者の性別×年齢(10歳階級)構成比で割付。
本調査は、生成AIの業務利用者の発生比に基づき、非利用群のサンプルを割付。
調査会社モニターを用いたインターネット定量調査
生成AI利用群:2025年10月24日 – 10月26日/生成AI非利用群:2025年10月27日 – 10月28日
株式会社パーソル総合研究所
全国の就業者における業務利用での生成AI利用率は32.4%にとどまる。利用頻度の内訳を見ると、「週4日以上のヘビーユーザー」は11.7%、「週1~3日のミドルユーザー」が12.4%、「月数日以下のライトユーザー」が8.4%となっている。
生成AIの利用は広がりつつあるが、日常的に使いこなす段階にはまだ達しておらず、利用の頻度には大きなばらつきが存在することが確認された。
生成AIの利用割合を性年代別に見ると、若年層ほど高く、特に20〜30代男性は4割超と突出している。一方、30代以上の女性や高齢層では利用割合が低く、60代では1〜2割台にとどまる。
生成AIの利用割合を職位別に見ると、「課長(58.3%)」「部長(62.0%)」といった管理職層で高い一方、「一般社員・従業員(35.5%)」や「役員(43.6%)」「代表取締役・社長(40.2%)」といった経営層では利用割合が相対的に低いことが確認され、マネジメント層で生成AIの利用が先行している構造が明らかとなった。
生成AI非利用者では、「自分の業務には必要性を感じない」「使い方がわからない」「どのような業務で使えるのかイメージできない」が年代共通で上位に挙がる。ツール配布だけでは利用は進まず、業務での具体的な活用イメージと、安心して試せる学習・支援の場づくりが必要である。
一般職層が生成AIを使わない理由は「使い方がわからない」「セキュリティ運用リスクが不安」が相対的に高い。一方、経営層は「自分の業務には必要性を感じない」「どのような業務で使えるのかイメージできない」が目立つ。生成AI未利用の理由は職位で異なるため、普及施策も職位別に検討する必要がある。
生成AIを活用しているタスクについて、生成AI未利用時と生成AI利用時の所要時間を比較したところ、生成AI利用時の所要時間は平均で16.7%(26.4分/週)削減されていた。
用途別では「企画・相談・思考整理(36.9分/週)」「文書・資料作成/編集(35.1分/週)」「データ分析/レポーティング(33.6分/週)」で削減幅が大きく、週30分超の短縮が見られる。
生成AIで削減できた時間のうち61.2%は「仕事をする」ことに使われており、その中身の多くを「日常の業務(75.4%)」が占めている。「改良・再設計」、「探索」といった前向きな業務にも一定程度振り向けられているものの、まずは既存の反復タスクの消化に充てられている。
生成AIの利用頻度別に課題を見ると、週4日以上のヘビーユーザーほど、周囲の利用支援や使い方の指導に関する負担を感じやすく、「AIの教育サポートが正式な業務・評価に位置付けられていない」といった現状が確認された。
また、ヘビーユーザーほど過去1年間の生成AI利用によって「学習に充てる時間」や、「人に教える頻度」が増えており、普及の負担が特定層に集中している。
業務での生成AI利用はタスクの所要時間の削減効果があるものの、既存の反復タスクに消化されたり、普及の負担が特定層に集中していたりする。そして、そもそも利用者が少ないのが現実だ。そこで、組織全体での生成AI活用を促進するために、個人の生成AIの成熟度と企業内の普及パターンの観点から探った。
初めに、個人の生成AIの成熟度について、10項目で測定し生成AI活用のパフォーマンスとの関係を見た。生成AI活用のパフォーマンスとは、仕事のスピードが上がっているなどの「作業の効率性の高さ」と、ミスや抜け漏れが減っているなどの「品質・創造性の高さ」を指す。その結果、個人の生成AIの成熟度と生成AI活用のパフォーマンスは強い相関(0.6674)が確認された。つまり、生成AIの活用のためには、この個人の生成AIの成熟度を組織でいかに上げていくかがポイントになる。
そこで、個人の生成AIの成熟度を上げるポイントをはたらく個人と組織の観点で分析した。
まず、個人の生成AI活用の成熟度には、新しいことを見ると、とりあえず試してみたくなるなどの「問いを楽しむ志向性」や、新しいアイデアを思いつくと、人に話したくなるなどの「他者に共有する志向性」の2つの特性が有意に関連することが分かった。
次に、個人の生成AIの成熟度が高い組織の特徴を見ると、独創的な意見を歓迎し、短期成果より長期的な成長を重んじる風土があることが分かった。また、上司が新しいデジタルツールの活用場面とルールを具体的に示し、自らも活用しながら部下の中長期キャリアを支援している。このことから、「目の前の効率化」にとらわれる組織・上司では、短期的にも成果につながっていないことが示される。
続いて、企業内の普及パターンについて、企業の生成AIの方針・利用ルール・レビュー・監査などの回答傾向から、企業の生成AI普及タイプを以下の4タイプに分類した。
最も多いのは、現場裁量にゆだねながら、相談・教育の役割を整え、レビュー・根拠確認・テンプレ更新に取り組む「仕組み化タイプ」(43.3%)。続いて、活用を進めつつ、標準・手順・レビューが未整備で、部門・個人差が大きく運用が安定しにくい「手探り運用タイプ(39.8%)」。次に、組織で厳格にルールやツールを定めていくトップダウン型で、大企業にやや多い 「統制タイプ(9.1%)」。そして、一定のルールを定めながら、教育・学習が属人的になっている「現場任せタイプ」と続く。
企業の生成AIの普及タイプ別にタスクの平均削減時間を見た。タイプによって大きく異なり、「現場任せタイプ」が週52.2分と最も効果が高い。一方、タイプ別の個人の生成AIの成熟度は「仕組み化タイプ」が最も高く34.9pt、「統制タイプ」では時間削減・成熟度ともに低水準にとどまる。
短期的な効率化は現場の部分最適でも実現しえるが、持続的な高度活用には仕組みの整備が不可欠であることが示唆される。
生成AIの活用によるタスクレベルの効率化の効果が、組織全体の効率化にほぼつながっていない実態が示された。その主な理由は、以下の3つである。
このまま生成AIの普及に努めても、組織全体の大きな成果にはつながりにくい。そこで以下の3つの提言と施策例を示したい。
生成AIによる時間削減効果を「日常業務の消化」で終わらせず、業務の改良・再設計・探索など長期的な付加価値につながる使い道へ流す仕掛けを先に設計することを検討したい。
<施策例>
生成AIの普及を一部の「詳しい人」や「DX推進部」任せにせず、試行(試す・型化する)役割と、共有(伝える・場づくり)する役割を分担して組み合わせたい。 例えばIT/DX部門(試行)と人事/広報部門(共有)の組み合わせで普及させていくこともひとつである。特に経営層には、推進オーナーとして率先的に活用し、旗振り役を求めたい。
<施策例>
組織としての個人の生成AIの成熟度を上げるには、個人の学習努力や各現場での活用に依存することなく、相談・レビュー・根拠確認・テンプレ更新が「運用として回る」仕組み(組織インフラ)を整備する必要がある。一部の層の非公式の貢献や学習活動に頼る企業も多いが、負担が偏っている現状は、不公平感につながりやすい。
<施策例>
※本調査を引用いただく際は出所を明示してください。
出所の記載例:パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」
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